表記について

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6

黒い影の持つランタンの光は、どこまでも伸び先を照らす。
何者をも逃さぬよう、隅々まで見渡す為とでも云うように。
ランタンを下げている方とは反対の袖口には、大きなーー鎌。

あれは……何のために、持っているの?
そして何を…探し求めているの……?
得体が知れないものながら、身震いするほどの冷たく昏い意思のようなものが伝わってくる。
重苦しい空気を振りまくように纏い、大きな鎌を鈍く光らせるその姿は……どう見てもーーー。
ーー死神……?

よく目を凝らしてみても、そのローブの隙間から覗く闇の中に顔のようなものは見えない。
ただただ、昏く深い闇の空間がそこに空いているだけのように見える。
ーーけれど。
視線が合った気がした。
…ううん、きっと見えている。
真っ直ぐこちらに向かってくる、漂う影は…。
何故か、まるで静かに笑っているようにも見える。

胸の奥に収められていた昏い心がーー再び意識に語りかけてくる。
……コレデ……楽ニナレルノ……?

突如、霧に覆われたように、辺りが紫色の光に包まれる。
黒い影が持つランタンの光が、妖しい闇色に変わっていた。
どこか不気味に感じられるその灯りの色は、けれども眺めている内に……。
ーー不思議と、優しく柔らかにも見えてくる。

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"ーーさあ、こちらへ。"
向けられた大きな鎌すら、まるで手招きをしているようにも…。

…モウ、悩マナクテモ…。
ーー苦シマナクテイイノ…?

自然と穏やかに……顔が綻ぶのが分かる。
そして…足が糸で引かれるように、黒い影へと向かい動いた。

けれどもすぐ、紫色の霧は晴れたーーいや、視界が何かに塞がれていた。

ーー邪魔ヲスルノハ…、誰…⁈

「セツナ!」
「……⁈」
振り払おうとした手を掴まれ、強い力で引き込まれた先は。
いつも側に居てくれる、彼の暖かな腕の中ーー。
「アツシ…さん?」
「駄目です!しっかり…!」
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