表記について

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7

ーー私は……、一体何を?

急速に血の気が引き、身震いする。
思わず彼の胸元に縋りしがみつく私の手を、暖かく大きな手がぎゅっと包み返してくれる。
彼の安堵したような溜息と共に、腕の力が強まる。
「…セツナ…」
強く抱き締められ、その優しい声音と温もりに震えが治まっていく。

けれどその安息の時も永くは保っていられない。
「こちらへ…!」
彼が私の腕を掴み直し、新たな通路が拓けている方へ駆け出す。
「ひとまず此処は…逃げましょう!」
ルインさんとイージスさんも、私達の後ろに続く。
得体が知れない、そして例え立ち向かってもとても叶わない相手であろうことは、容易に感じられる。
「とにかく走って下さい!……追い付かれます!」
ルインさんの声に、ただ頷きーー。
アツシさんが手を引いてくれる勢いも借りて、全力で駆ける。
新たにイージスさんとルインさんの二人が加わった私達一行は、次の間へと続く通路を目指してひたすら走る。
例えこの先へと進む事に、迷いがあったとしても。

ーー今はーーそんな事は言っていられない。
きっとあの大きな鎌の一振りを浴びせられれば…。
先へ進む機会も何も失くし、そこで全て終わるだろう。

懸命に駆ける足元にすら、逃さず追い縋るランタンの光。
差し迫る恐怖に、怯え肩を竦ませながらも。
何気にちらと横目で見た彼と、目が合い少しほっとする。
ーー私がついています……大丈夫。
そう密かに、言ってくれているようで。

切迫したこの状況でも、彼の眼差しは強く…やはり優しく暖かい。
必死な中ぎこちなくも、微笑い返す。
今度はさっき黒い影に向けたものとは違い、もっと純粋な喜びからの気持ちで。

ーーありがとう。
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