表記について

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7

まるで山のようにそびえる巨大な魔物に目を奪われながら、ぐるりと辺りを確認しようとした時。

「ーー危ない!」
急速に体が引っ張られ、視界が遮られた。
すぐ側で、何かが鯊ぜる音。
そして立ち上るーー火薬の匂い。
……これは…、爆薬?!
誰かの体が離れ、まず見えたのは…。
イージスさんの、軽い素材で出来た布地の衣服。
「大丈夫でしたか?」
次に目に入った、足元に散る爆薬の破片から…。
とっさに彼女か爆発から庇ってくれたのだと実感する。
「ありがとうございます…」
「いえ…」
そして、顔を上げた先。
「今の…は……」
イージスさんの視線の向こう側。
もう一つ、背中があった。
ーー見慣れたマントの、繊維の焦げる匂い。
「ーー!」
「無事でしたか。…良かった」
火の粉を振り払いながら、振り返り微笑むひと。
……アツシさん…?!

今のは、もしかして…。
どこかから、複数の火が⁈
それが火薬にも引火して、さっきの爆発を…?
ーーならば、他にも何かが居る?!

先に気付いた二人が、それぞれ私を庇ってくれた…。

「ーーただ避けていたら、きっと…」
ルインさんが、言いながら見上げる先には。
背後でガチャガチャと、重い金属音ーー鎖の擦れる音。
壁に縛られた巨大な魔物にも、今の物音が同じように耳に入ったのだろう。
「あの魔物…。今は身動きが取れませんが、刺激を与えればどうなるか…」
その巨体に備わる力は、きっと相当なものだろう。
もし、その力でどうにか鎖を引きちぎったら……⁈
この場での乱戦を想像するとーーぞっとする。
この一見広い空間も、そうなれば…。

ーー何とか、取り返しの付かない事態になる前に。
改めてそう思い立ち、魔法の飛来した元を探そうと振り返りざま…。
「ーーくっ…!」
「…アツシさん!」
二撃目を剣で受け止めるーーと言ってもやはり受けきれず、火の玉の直撃をその身で受ける彼の姿が。
「そこか…!」
けれどそのまま、彼は上を目指して駆けてゆく。
その視線を追うと…確かに魔法の詠唱の発光が見えた。
「……そのようだな」
イージスさんも遅れず後に続く。
すれ違いざま、イージスさんがこちらに向かって手を挙げ、ぐっと引いた。
「私達も続きましょう。このままでは格好の的になります」
ルインさんが早口に促した。
今のイージスさんの素振りは、付いて来い、という意味のものだったのだろう。

確かに、此処にじっとしていても始まらない。
そして万が一、そのせいで壁に繋がれた魔物に攻撃が加わるような事になれば。
私達自身が避けたいと願う、無闇な戦いを招いてしまう。
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