表記について

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2

「いつも部屋の窓から…この花を視るのが好きなのです」
言いながらそっと僅かに膝を曲げて屈み、愛おしそうに顔を近付けじっと見つめる姫。

「やっと…会えました…」
常に淑やかなその動作はーーやはり身に付いているものなのか、細々としかし懸命に咲く花を驚かせない為なのか。
時折そっと指先花弁を突付くように触れ、ふわりと頬を綻ばせる。

暫くそうして、花を愛でるひと時を愉しみながらも……。
その内、はたと何か思い至り立ち上がる。

「…あの…ごめんなさい、わたくしったらつい一人で…」
慌ててイオリの方を向くも、直ぐに俯き目を逸らす。
「あの、わたくし…貴方様と一緒に見たくなってそれで…。あの…」
指をもじもじと交差させながら一気に言葉を並べる。
そのまま背を向けた姫の背後で、微かにクスリと笑う声。

「ーーいえ。私などで宜しければ…幾らでも」
「イオリ様……」
その言葉にゆっくり顔を上げた姫がーー振り向き掛けた時。
「ーーあ……」
「姫様」
そのまま背中からーーイオリがふわりと逞しい腕で包む。

「…あ、あの……」
「ーー綺麗です。花も…そして…」
優しく囁く声。
腕が一度解かれ、改めて向かい合った姫の片側の頬に手が添えられる。
「…姫様…。貴女様も」
すっかり紅潮した頬に掛かる手は、ただ添えられたようで…姫がたまらず俯こうとしてもそれを許さない。
姫の目が少しの間だけ泳ぎ、またおずおずと上目遣いの視線が上がる。

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