表記について

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3

潤んだ瞳に映るのは…。
真っ直ぐなーーそれでいて穏やかな表情で見詰める、すぐ目の前のイオリの顔。
深い眼差しに引き込まれるように、姫の視線も離れない。
「……イオリ…さま……」
そしてやっとの事で声を紡ぎ出したように…掠れた声で、ただその名を呟く。
もう片側の頬にも、更にそっとイオリの手が添えられる。
姫の頬が、イオリの両掌に挟み込まれた形になり…。
「…姫様…。ーーー」
熱を帯びた瞳が、ゆっくり近付く。

唇を、軽く触れるように重ねた時ーー彼が何を告げたのか。

姫にしか聞こえないその囁きに、姫の目が大きく見開かれた。
顔が離れ、そのまま目を合わせる中で、姫がそっと微笑む。
「……イオリ様……。わたくしも……」

そしてほぼ間を置かず、二人の合わせる視線の距離が再び縮まる。
互いの前髪が摺れ合う。
やがて睫が……、そして……。

イオリの手が、姫の顔から離れた。
腕が、今度はしっかりと姫の肩を抱く。
静かにそれぞれの目が閉じられ、再び重ねられた唇はーー暫し離れることは無かった。

唇が離れ、胸の中で恥じらい身を縮める姫を。
イオリは優しく抱き締め小さく微笑う。

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