表記について

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9

彼等が果敢に挑み切り開いてくれた進路を辿り、辺りを少しずつ確かめる。
灯りが少なく足元の狭い通路を、魔法の光を灯した杖を手に進む。
ーーこれもかつて、私達に助力してくれた……。
先の旅の仲間、ハゥルさんが使っていた知恵の術。
初め何も分からなかった私が、様々な魔法を会得してこれているのも。
いつも皆が、支え助けてくれているからこそ…。
その思いを、暖かさを、ここで無駄にはしたくない。
必ず何かーー手掛かりを見付けてみせる。

通路の端々には宝箱があるものの…特に目立って目に付く物は入っていない。
ただ、気になった物と言えば……。
それが何なのか分からない、黒い塊がひとつ入っている箱があったくらいだ。

通路を上り進むにつれ、先行した二人の背中が近付く。
「……ふん。小癪な真似をしてくれた割には…」
イージスさんがぶんと剣を振り、鞘に納める。
彼女の動きは遜色無く滑らかで、優雅だ。
やはり不利な状況でも、全く引けを取っていなかったのだと伺える。

「イージス」
ルインさんがいつもの口調で声を掛ける。
呼ばれたイージスさんは、すぐさま振り返り合流してくれた。
「…ルイン。覚者様も無事で?」
その問いに、私もルインさんも共にこくりと頷き。
彼女達が、身を挺して得させてくれた無事を報告する。
「イージスさんこそ…。ありがとうございました」

「ーーいえ。それより…、何か見付かりそうですか?」
端的な言葉の中にも、やはり彼女の持つ優しさが伝わってくる。
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