表記について

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4

この庭園も迷宮のほんの一部に過ぎない筈だけれど、それでもかなり広い。
此処を隅から隅へと歩き回るだけでも、結構な時間が掛かる。
それでも、この場の緑豊かな中に動物の息づく風景に、まだ迷宮探索の中では気が楽な方だと思える事が救いだった。
動物達のただのんびりと過ごす無垢な姿に、思わず頬が緩む。
ーーちょっと、通して下さいね…?
そう言いたくなる安穏とした様子に、改めてこの庭園の存在も不思議に思えてくる。

建物に沿って歩き、扉かとおぼしきものを全て調べて回る。
けれど、鍵の掛かった扉、仕掛けのある扉…様々な扉があれど…どれもなかなか進める気配がない。
「覚者様。あちらを…」
ルインさんが、白い指でそっと指差す先。
木に覆い隠されるように、ひっそりと。
今まで抜けてきたものと同じような、大きな扉が目に入った。
……あれなら…?
一度目を見合わせてゆっくり頷き、揃ってそちらへ歩を進めた。

そしてやはり……、その後しばらくは、このような長閑な景色を目にすることはなかった。

重い扉を抜けた先は、またも暗く……。
そしてただ広い物悲しい雰囲気の通路が続いていた。
月明かりがうっすら差し込むだけの、灯火の無い通路にはーー私達一行とその影だけ。
その足音以外には、他に何も聞こえない。
きっと此処から先、魔物も巣食っている…。
耳が痛くなるほどの静けさが、先にどんな事があるか分からない恐怖を何となく感じさせる。
「油断せず参りましょう」
イージスさんが、自らにも言い聞かせているかのように背を向けたまま呼び掛けた。
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