表記について

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7

あなたが居てくれるのは、嬉しくて。
そしてその時間は、誰と居るより安らげて。

……でも……。

ーーやっぱり私は、あなたと距離を置かなければいけない。
あなたに深く気持ちを委ねたら……。
私自身、もう元には戻れなくなる。
やるせなくも感じる胸のつかえを、意識の届かない奥底へ押し込めたくて。
もう一度力を込め、彼の手を振り払おうとした。

けれどやはり、及ばない強い力で引かれ。
そして、肩に彼の腕がふわりと……、その後ぎゅっと包み込むように回された。

ーー背後から、強く優しく抱きしめられていた。

"……セツナ。"
小さくも、はっきりと。
彼は確かにーーそう耳元で囁いた。

此処へ来てからの、違和感の正体。
……それは……。
彼は私のことを、私自身の名前で呼んでいたんだ……。
ーー"マスター"、ではなく…"セツナ様"、と。
散々勝手な事をした私を、彼はきっと叱ると思った。
そして再会した時、憤っているのだと思ったーー。

それに私は、あなたをこれから、きっと今まで以上に危険な道へと巻き込んでしまう。
でも、あなたは……そんな私を……。
想ってくれるの……?
愛してーーくれるの……?

震える手を、肩に回された彼の手に重ねようとーーゆっくり探り動かした。
すると彼は、その手を今度は重ね包み込むように握って。
そのまま手を引かれ、温かな胸元へと抱き寄せられた。

その柔らかな温もりと、力強い腕の中に包まれる安らぎの中で。
もう、私の心の中のーーわだかまりが。
反発する意思が、浄化されるように消えゆくのが分かる。

「……アツシさん……」
そっと胸にもたれながら、目を閉じ名を呟いた。

ーー本当はずっと、傍に居て欲しいと願っていたひとの名を。

……あなたが……すき……。
心のなかで囁いた。

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