表記について
・R指定表現のあるページには、(※R) を付けています。苦手な方は読み飛ばし下さいませ。
・最新の更新ページには、★をつけておきます。そして、画像を新に貼ったページには、☆をつけておきます。
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窓から射し込んで来る光が、やがて部屋全体を明るく見せ始める頃合い。
「‥‥ん‥‥」
ーーもうきっと、外には陽も高く昇り‥‥。
外からの風が運んでくる暖かな空気が、布団に包まる身をじわりと微かに汗ばませる。
けれど今、私を包み込む温もりは、きっとそれだけじゃなくて‥‥。
鉛を纏うように気怠い身を動かそうとして、直ぐ傍に在る確かな存在に改めて気付く。
「——おはよう、セツナ‥‥」
直に素肌で感じる温もりと、頭の中に直接囁きかけるような、息の掛かる近さで伝わって来る声。
「‥‥ん、んん‥‥」
優しい温もりの中で、挨拶を返そうとは思いながらも‥‥心地よさにそのまま、再び眠りに墜ちそうになる。
と、ふわりと私の前髪を掻き分けるように、大きな手が額のあたりをそっと撫でてくる。
その、少しくすぐったくも感じる気配に、ゆっくりとまだ重い瞼を開いた。
「‥‥アツシ‥‥さ‥‥、おはよ‥‥ござ‥」
何とか言葉に出してみて初めて、少し自分の声が掠れている事に気付く。
ーーそういえば‥‥。
昨夜の事を場面場面で思い出して、反射的に口を押えながら狼狽えてしまう。
目も潤んで仕舞いそうな程に顔が熱くなり、すっかり紅潮してしまっているのだろうというのが判る。
「‥‥あ‥‥、ごめ‥‥なさ‥‥。わたし‥‥」
「--いえ、大して休めていませんよね」
ふふ、と彼がーーアツシさんが、優しく笑うのが聞こえる。
額に、一瞬ふわりと温かい感触。
誘われるように目線を上げれば、柔らかな彼の笑顔が直ぐ目の前に在った。
「私の方こそ‥‥無理をさせたかも知れません」
そう言いながら、彼が私の背に逞しい腕が回し‥‥そのまま引き寄せられるように抱きすくめられた。
そして、すぐ耳元に囁かれる言葉。
”‥‥つい、あなたが‥‥可愛過ぎて ”
「——?!!‥‥」
もう、頭がぼうっと‥‥意識が飛んでしまいそうだ。
堪らなく恥ずかしさを感じる、甘い言葉にーーきっと先程よりも赤面してしまっているだろう。
その顔を、彼に見られるのも恥ずかしいという思いから。
思わず肌に噛みついてしまいそうな程ぎゅっと、彼の肩口に強く顔を埋める。
ーーアツシさんの、意地悪‥‥。
そう、彼にその思いの理由を転嫁しながら、それでもそっと、私からも背に腕を回して縋り付いてみる。
「‥‥っ‥‥」
その際にまた、二の腕がーーそして背中や脚など、全身が筋肉痛のように強張っているのが分かる。
これでは、この寝台から起き上がる事も‥‥?
でもそれでは、このまま此処で一日が終わってしまいそうで。
‥‥けれど。
やはりどうしても睡眠不足と、疲れの残る体では‥‥彼の温もりに包まれている間にも、やはり眠りに墜ちそうになってゆく。
それをすまいと、しっかりと縋り付こうとした腕を。
彼がやんわりと手に取り、今度は手を繋いだまま優しく抱き締めてくれた。
「——あなたは、まだ暫く休んでいて下さい」
そしてもう一度、私の額に軽く口付けると‥‥。
手を離し、ゆっくりとその身を起こした。
ーー明るい部屋の中で、きっと初めて見る彼の逞しい躰に。
改めてどきりとしながら、その中に安心感も抱く。
ほどなくして彼は脱ぎ捨ててあった服を身に着けながら、やがて寝台を降り、しっかりと身支度を始めた。
「‥‥アツシ‥‥さん?」
全身を動かすのが少し辛くも、何とか上半身だけでも起こしながら。
その、すっかりマントも羽織った、見慣れた背中へ呼び掛けてみた。
振り返った彼は、初めは硬さも感じる表情をしていたけれどーーすぐに柔らかな笑顔になった。
「少し、行きたい処があります。ーー待っていて下さい」
「‥‥え‥?」
「領都へ、行ってきます」
「‥‥‥」
――今から?
そう思った私の考えを見透かすように、彼は更に目を細めてふっと微笑んだ。
「私は、リムを通れますから‥‥暗くなる迄には戻ります」
‥‥そうだった、彼は‥‥異空間を通って、離れた場所でも自由に行き来できるのだ。
でも、それはいいとして。
「‥‥あの、でも‥‥」
「たまには——ゆっくり休みながら、お土産を待っていてください」
「ーーえっ?‥‥あ‥、」
ーーまるで悪戯っぽくも見える笑みを残して、彼は部屋を出て行ってしまった。
領都での彼の行先は気になるものの、でも‥‥。
いつもの彼と変わらない様子と、そしてまだ彼と交わした悦びの余韻から抜けきらない微睡に。
まるで彼の言葉にそのまま甘えるように再び寝台に身を沈めると、意識がゆっくりと自然に墜ちてゆく。
ーー彼とは此処で、そして此処からーーこれから何時までも共に居られるんだ。
形にしては見られないものの、はっきりとそう感じられる想い。
それがしっかりと身と心に刻まれているのが分かるのが不思議で、でも嬉しくて。
再び彼の腕に包まれる感触を思い出すかのように、そして思い浮かべるように、素肌を布団に包まらせて目を閉じた。
‥‥ごめんなさい、もう少し‥‥休みます。
髪を撫でるように通り過ぎた窓からの風が、彼の手のように感じて。
眠りに誘われる寸前、うっすらと頬が緩んでいたかも知れないーー。
”ありがとう、アツシさん。”
声には出さず、胸のうちで呟いてみる。
‥‥そうすれば、”いえ”、と、柔らかく微笑んでくれる彼の顔が自然と浮かんでくる。
ーーああ、改めて感じる。
ーー‥‥私も、あなたの事が‥‥、こんなに‥‥こんなにもーーー‥‥。
目の前が真っ暗に、意識がすっかり無へと墜ちて行きながらも。
身も心も、心地よい程にじんわりと暖かい。
いつでも彼の腕に、しっかりと抱き留められているように。
「‥‥ん‥‥」
ーーもうきっと、外には陽も高く昇り‥‥。
外からの風が運んでくる暖かな空気が、布団に包まる身をじわりと微かに汗ばませる。
けれど今、私を包み込む温もりは、きっとそれだけじゃなくて‥‥。
鉛を纏うように気怠い身を動かそうとして、直ぐ傍に在る確かな存在に改めて気付く。
「——おはよう、セツナ‥‥」
直に素肌で感じる温もりと、頭の中に直接囁きかけるような、息の掛かる近さで伝わって来る声。
「‥‥ん、んん‥‥」
優しい温もりの中で、挨拶を返そうとは思いながらも‥‥心地よさにそのまま、再び眠りに墜ちそうになる。
と、ふわりと私の前髪を掻き分けるように、大きな手が額のあたりをそっと撫でてくる。
その、少しくすぐったくも感じる気配に、ゆっくりとまだ重い瞼を開いた。
「‥‥アツシ‥‥さ‥‥、おはよ‥‥ござ‥」
何とか言葉に出してみて初めて、少し自分の声が掠れている事に気付く。
ーーそういえば‥‥。
昨夜の事を場面場面で思い出して、反射的に口を押えながら狼狽えてしまう。
目も潤んで仕舞いそうな程に顔が熱くなり、すっかり紅潮してしまっているのだろうというのが判る。
「‥‥あ‥‥、ごめ‥‥なさ‥‥。わたし‥‥」
「--いえ、大して休めていませんよね」
ふふ、と彼がーーアツシさんが、優しく笑うのが聞こえる。
額に、一瞬ふわりと温かい感触。
誘われるように目線を上げれば、柔らかな彼の笑顔が直ぐ目の前に在った。
「私の方こそ‥‥無理をさせたかも知れません」
そう言いながら、彼が私の背に逞しい腕が回し‥‥そのまま引き寄せられるように抱きすくめられた。
そして、すぐ耳元に囁かれる言葉。
”‥‥つい、あなたが‥‥可愛過ぎて ”
「——?!!‥‥」
もう、頭がぼうっと‥‥意識が飛んでしまいそうだ。
堪らなく恥ずかしさを感じる、甘い言葉にーーきっと先程よりも赤面してしまっているだろう。
その顔を、彼に見られるのも恥ずかしいという思いから。
思わず肌に噛みついてしまいそうな程ぎゅっと、彼の肩口に強く顔を埋める。
ーーアツシさんの、意地悪‥‥。
そう、彼にその思いの理由を転嫁しながら、それでもそっと、私からも背に腕を回して縋り付いてみる。
「‥‥っ‥‥」
その際にまた、二の腕がーーそして背中や脚など、全身が筋肉痛のように強張っているのが分かる。
これでは、この寝台から起き上がる事も‥‥?
でもそれでは、このまま此処で一日が終わってしまいそうで。
‥‥けれど。
やはりどうしても睡眠不足と、疲れの残る体では‥‥彼の温もりに包まれている間にも、やはり眠りに墜ちそうになってゆく。
それをすまいと、しっかりと縋り付こうとした腕を。
彼がやんわりと手に取り、今度は手を繋いだまま優しく抱き締めてくれた。
「——あなたは、まだ暫く休んでいて下さい」
そしてもう一度、私の額に軽く口付けると‥‥。
手を離し、ゆっくりとその身を起こした。
ーー明るい部屋の中で、きっと初めて見る彼の逞しい躰に。
改めてどきりとしながら、その中に安心感も抱く。
ほどなくして彼は脱ぎ捨ててあった服を身に着けながら、やがて寝台を降り、しっかりと身支度を始めた。
「‥‥アツシ‥‥さん?」
全身を動かすのが少し辛くも、何とか上半身だけでも起こしながら。
その、すっかりマントも羽織った、見慣れた背中へ呼び掛けてみた。
振り返った彼は、初めは硬さも感じる表情をしていたけれどーーすぐに柔らかな笑顔になった。
「少し、行きたい処があります。ーー待っていて下さい」
「‥‥え‥?」
「領都へ、行ってきます」
「‥‥‥」
――今から?
そう思った私の考えを見透かすように、彼は更に目を細めてふっと微笑んだ。
「私は、リムを通れますから‥‥暗くなる迄には戻ります」
‥‥そうだった、彼は‥‥異空間を通って、離れた場所でも自由に行き来できるのだ。
でも、それはいいとして。
「‥‥あの、でも‥‥」
「たまには——ゆっくり休みながら、お土産を待っていてください」
「ーーえっ?‥‥あ‥、」
ーーまるで悪戯っぽくも見える笑みを残して、彼は部屋を出て行ってしまった。
領都での彼の行先は気になるものの、でも‥‥。
いつもの彼と変わらない様子と、そしてまだ彼と交わした悦びの余韻から抜けきらない微睡に。
まるで彼の言葉にそのまま甘えるように再び寝台に身を沈めると、意識がゆっくりと自然に墜ちてゆく。
ーー彼とは此処で、そして此処からーーこれから何時までも共に居られるんだ。
形にしては見られないものの、はっきりとそう感じられる想い。
それがしっかりと身と心に刻まれているのが分かるのが不思議で、でも嬉しくて。
再び彼の腕に包まれる感触を思い出すかのように、そして思い浮かべるように、素肌を布団に包まらせて目を閉じた。
‥‥ごめんなさい、もう少し‥‥休みます。
髪を撫でるように通り過ぎた窓からの風が、彼の手のように感じて。
眠りに誘われる寸前、うっすらと頬が緩んでいたかも知れないーー。
”ありがとう、アツシさん。”
声には出さず、胸のうちで呟いてみる。
‥‥そうすれば、”いえ”、と、柔らかく微笑んでくれる彼の顔が自然と浮かんでくる。
ーーああ、改めて感じる。
ーー‥‥私も、あなたの事が‥‥、こんなに‥‥こんなにもーーー‥‥。
目の前が真っ暗に、意識がすっかり無へと墜ちて行きながらも。
身も心も、心地よい程にじんわりと暖かい。
いつでも彼の腕に、しっかりと抱き留められているように。
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